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【COMITIA119】新刊宣伝!『病める白百合』で獣になろう!【美少年】

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来るCOMITIA119! 第一弾『病める白百合』です。なお最初の情報は スペース番号【み02b】 です!  おばんです。跳ぶほうのひつじです。  此度はCOMITIAに初参戦ということで、張り切って本を作りました。そう、『病める白百合』です。昨年のテキレボ等で頒布した『赤錆びと渇きの。』および『眩暈の紫』とホーンという世界観を共有しております。そして3作もやったんだからホーンはこれでおしまいです。 ☆まず、『病める白百合』はカクヨムにて公開しております。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881901416#reviews  こちらに多少の修正と序章を追加し、おいしいごはんさんの装画がついたものが製本版『病める白百合』となっております。ので、内容を知っておきたいというかたはぜひカクヨム版をご一読ください。なんというか、こう、せまーいかんじのお話でもあるので……。 ばーん!表紙! ※この白い線は修正ではなく、背幅です。 ☆本文抜粋  扉に背を向けて真直ぐに前を見ると、なにかとらえがたいものが宙に浮いていた。否、浮いているのかはわからない。それは黒い、闇よりもなお濃い、純黒とあらわすべき、あらゆる景色から遊離した黒の、亀裂だった。あれには近づいてはならないと直感し、視線を横に向ける。左手はすぐ書架の壁、右手奥には巨大な寝台があった。寝乱れた敷布を目にしたとき、なにか禍々しい欲望が頭をもたげるのを感じた。  扉の、対角線上。  そこにそれはいた。  机に向かって、一心不乱に何かを記していた。  足元の狼が、真白い毛皮をした巨きな狼が、磁翠を見つめている――。  闇はしたたるようだった。磁翠がもたらした揺らぎによって掻き乱された、その濃密な闇のもとで、痩せた少年の真白い髪は、あわい光を放っていた。ゆっくりと、引きのばされた時間が飴のように糸引くなかで、少年は振り向き、磁翠を見た。銀色の眸が、頭蓋の裏まで見通せそうに透きとおった眸が、洞を湛えて磁翠を見た。  ――汚らわしい。  と。直感した。  精妙な造作のかんばせは、この世のものとは思えないほどうつくしいというのに、汚らわしいと。少年の、痩せ細った躰の隅々までが、汚れている。白い髪、