テキレボ3が来る!新刊ダイジェスト!


テキレボまであと少しですね!!

 今回はイベント前恒例の新刊ダイジェストをお送りします。
 まず基本情報のおさらいを……
 テキストレボリューションズ3は3月21日(月祝)、会場は浅草の都立産業貿易センター台東館にて開催ですよ!
 そいでもって我がサークル【ヲンブルペコネ】のブースは【B-09】です。

 

 では今回テキレボ3で頒布する新刊情報とダイジェストなんかを以下にて。

 

 

★『鰐と運命的滅亡のメルルカ・アンポルカ』著・跳世ひつじ

 文庫判84頁、300円

 

 

 ところで、ニャンプーは夜色の肌をしていました。ニャンプーは夜と闇からうまれた幽霊だからです。髪と、まんまるい目は、いちばん大きな月の色でした。ニャンプーはまさしく、夜の子どもでした。ニャンプーは踊りながら歩き、今晩は荒れ地にじっと蹲りけして動くことのない毛皮鰐を、黄金の輪で三匹、ころしました。

 
凸凸凸 ぽつぽつぽつねん 佇む鰐は
 世にも醜い角なし三角、わたしかわいい幽霊子ども
汗も涙もまっくろ油の毛皮鰐は どうしてそんなに陰気なの?
 でももうなにも残らない 九九九年のやくそく 運命的滅亡
凸凸凸 おまえもおまえも 向こうのおまえも
 メルルカ・アンポルカの鰐 一匹残らず
燃え上がってはうたって踊れ、運命的滅亡は荒れ地のやさしさ
 わたしニャンプー幽霊子ども 世にもかわいい毛皮鰐ころし

 
 ニャンプーは好きなときに眠り、起きます。その晩は、月がまんまるくて、ニャンプーの眸のようにとろとろとしておいしそうだったので、ニャンプーは飛び跳ね踊りよろこびながら荒れ地をゆきました。夜はニャンプーの時間でした。ニャンプーは夜にひろがって、どこまでもどこまでもゆくことができるのです。ニャンプーの光る月色の髪と目だけがメルルカ・アンポルカに浮遊して、それ以外のからだのすべてはもやのようにうすく引きのばされて、遠くなることができます。
 そうして見つけた毛皮鰐は、ニャンプーが今まで見てきたどんな毛皮鰐よりも大きく……ふつうの毛皮鰐の、ゆうに三倍はありました……、そして驚くべきことに、もはや半分以上死んでいるのでした。ただ動かないだけではありません、大きな毛皮鰐はからだの端から砂となって崩れ落ちようとしています。ニャンプーを見ると、彼の鰐はうすらと目を開けて、また閉じました。ニャンプーはふしぎに思いながらも、いつものようにくるくると弄んでいた黄金の輪を通して、
「ぷう!」
 と息を吹きかけました。毛皮鰐は夜には見えない夜色の炎に巻かれて、またたくまに消え失せました。毛皮鰐が毛皮鰐としての存在を失い、毛皮鰐の運命的滅亡がまた、メルルカ・アンポルカに近づきます。夜の子どものいたずらな吐息で消えてしまう毛皮鰐は、しかしいつもと様子が違います。
 大きな大きな毛皮鰐を、ニャンプーは確かに運命的滅亡にみちびきました。あとはニャンプーと、夜の荒れ地が残るばかりだと思われました。ですがニャンプーの目の前には、どうしたことか、ひとりのうつくしい男がいるのでした。男は、あの大きな毛皮鰐の胸のなかで、ずっと、ずっとの長い時間、眠っていたのでしょう。薄い目蓋がするすると開くと、ニャンプーはたちまち魅了されてしまいました。
 メルルカ・アンポルカのどんな宝石……それはうしなわれて久しいものです……でもかなわない、白昼に虹を透かして反射くときのあの色、まだうまれたばかりの幽霊にもなつかしさを呼ぶ、摩訶不思議なまなざしでした。
「お、は、よ、う」


 
 こんな風の文章ですすんでゆきます。これは《毛皮鰐ころしの歌》といううたです。このようなうたがたくさん出てきます。そして、この「お、は、よ、う」の詩人と幽霊のニャンプーが、てくてくとメルルカ・アンポルカ大陸を歩くリリカル・ファンタジィであります。

 童話のようではありますが、漢字をひらくかひらかないかは単に好みの問題で決定したとか、いろいろあって童話というとちょっと首を傾げるのですが、うたがでてくるところは対外楽しいので、お子さんと読んでいただけることがもしもあったら嬉しいなあと思ったりします。本作品は「少女小説ラリー」さん、「滅亡探訪」さんに参加しております。滅亡するもの、の欄に「毛皮鰐」と掲載していただきました。毛皮鰐、滅びますよ~滅ぼしますよ~。だいぶ毛色の違う作品ではありますが、たくさんうたを書けたのがとっても楽しかったです。へんてこファンタジィがお好きなかた、いかがでしょうか。

 個人的なお気に入りのうたは《シャルルカ・シャムロッカころしの歌》です。

 

 

★『落ちる羊、遠くのヒツジ』落山羊、遠藤ヒツジ同名合同誌

 文庫判74頁、300円、「羊」をテーマにした合同誌です。落山の作品は「アモンの不思議な一週間」。

 

 

 メトロは冷蔵庫みたい。
 えんえん揺られて、終点から折り返した。出発点に戻ってきて、ようやく僕は冷蔵庫から出た。のろのろとした足運びになってしまうのは、冷蔵庫の外がどんな天気だとしても、かならず冷蔵庫のなかよりも暑いからだ。
 たくさんのひとが、僕にぶつかってゆく。僕は背が低いことを呪った。名残惜しく振り返ってももうそこには、メトロはいない。地下トンネルから抜け出すには、階段を上らねばならない。不愛想な階段はとかく体温とは無縁だ。ひとのかたまりに流されるまま、名まえも知らないたくさんのひと、ざわざわとしたひとたちに運ばれるようにして、まるで団体旅行のようにして、僕とざわめきとは階段を目指した。
 ひとのからだが触れるたび、熱を感じる。むっとするような臭気も、くすぐったい髪の感触も、快も不快も一緒くたに、……僕たちは冷蔵庫から出てきたのだから、これはまるで料理だった。
 とりどりの具材のなかで火にかけられて僕は。
 孤独を感じる。
 未だ調理のなされないフライパン上。
 もみくちゃの熱と、かおりと、湿気のにぎやかさ。

 シンプルなひと言で 「メエ」 調和するレシピ
 ラセンとアモンのクッキング・バレエ
 草を食め 美少年よ!

 そう僕はここにいる、触れあってさえいるここにいる、誰の名まえをも知らないで。僕は誰にも知られていない。「僕、アモン」。さみしいでしょう、そんなことは。そうでもないですか。でも僕は、そんなことはさみしいのです。
 だからこういった、冷蔵庫から出たからだがぬるまってくるくらいの階段で、僕は思わず探してしまう。

 アモンの宇宙で唯一のロマンス
 見知らぬキミと目が合って雑踏
 微笑んだらば マシュマロ・ロマンス・トランス・ストレンジャー
 
「アモーン! アモン!」
「ラセン!」
「ぼく、きみがいなくて! 困り果てていた!」
「僕もだ!」


  と、こんな感じに、こちらもちょっぴりポエジーで彩るふうの、パステルで愛くるしい、それでいてちょっぴり冷やかめな作品になりました。近ごろ書いたもののうちではいちばん気に入っています。「羊」合同誌に出すに相応しい作品になりました。羊の美少年がたわぶれつつゾッとしたりしなかったり。読みやすくフワフワとしたほうの文章になったものの、内容はさて、どうでしょう。
 遠藤ヒツジさんの「やがて犠牲たる未の黙示」は、もう、ゴリゴリですよ! 『ラプラスの新悲劇』のときのわたしなら真正面からぶつけあって合同誌はもうなんか血みどろだったかもしれなかったので、結局バランスはとってもいい、食らい合いのすてきな調和が味わえる「羊」合同誌です。
 ほんとおすすめ! ぜひ買ってください。読んでもらいたいです。
 「アモンの不思議な一週間」に登場する詩のなかでのお気に入りは、《ヘラクレスオオカブト探しにうってつけの朝》という一篇です。ぜひ探してお読みください。

 

 

★崩れる本棚発行『純文学アンソロジー』参加者:落山羊、遠藤ヒツジ、そにっくなーす、Pさん、高橋己詩、松原礼二、ウサギノヴィッチ(敬称略)

「エンタメだけがテキレボじゃない純文学もあるんだ!とカウンターするアンソロジーです。」(崩れる本棚公式Twitterより)

 とのことで、「純文学アンソロジーですー」とだけ聞いていたので、「そっかー」と思って提出したら「純文学」アンソロジーだったらしいですね!? というわけで、純文学もあるんだ!という言葉に疑惑を投げかけつつ、それぞれ濃い面子ですので、なんだかこれもまた激強いアンソロジーのような気配がぷんぷんしています。
 わたしは「アモンの不思議な一週間」の真逆のような作品「駒の夏で死んだ」を寄稿しております。

 
駒はゆっくりと用心深く周囲を観察した。枯れ果てた電柱に黒つぐみが留まっていた。痩せこけた犬が同じ円を永遠に踏みしめていた。犬は自らの尾に導かれていたのだが、その犬自身はもっと大いなる運命の標に因って、自分が果てのない踊りを踏んでいるのだと思っていたと駒は見て取る。痩せこけた犬の蹄が土と砂利と擦れあうかちゃかちゃという音が鳴っていた。犬はいずれ斃れるだろうと駒はあらかじめ知っていた。しかしそれはあまりにも明らかなことだったために、駒はあえて犬に告げなかった。大いなる運命たる自らの尾に導かれた犬の落ちくぼんだ眸は白く濁っていた。舌は垂れ下がり爛れていた。尾の毛はあらかた抜け落ちていた。駒は痩せこけた犬そして向日葵とすれ違った。駒の背後では向日葵と犬とがぶつかり、犬は斃れた。

 

 なんて風です。今回のテキレボで新作として書いた中ではいちばんかため?かなと思います。「アモン」のほうが少年で、「駒」が少女ということで、どちらも奔放に書けました。純文学アンソロジーは、ほんと、豪華な本になりますよ~。こちらまだ詳細な情報はでていないのですが、配布ではなく販売ですので、ご注意くださいね! お金を出して買う価値は絶対ありますよ。じゅんぶんがく!

 

 

 というわけで、以上、テキレボでお披露目できる新作は三作ということになります。どれもいい本です。ぜひ網羅してくださいね(にこにこしながら)。
 実際、『鰐と運命的滅亡のメルルカ・アンポルカ』も『落ちる羊、遠くのヒツジ』もそうそう点数が多いわけでもありませんので、ぜひこの機会に手に取っていただけたらなあと思います。テキレボには「お買い物代行」というすばらしいサービスもありますので、ご検討くださいね。『純文学アンソロジー』のほうは把握していないのですが、『メルルカ・アンポルカ』と『落ちる羊、遠くのヒツジ』はきちんとお買い物代行のリストにも這入っておりますので。
 無料配布のペーパーやなにかもきちんと用意していきたいのですが未だ未定です。当日かみっぺらが置いてあったらヒョイと持って行ってください。

 

 ところで、新作といえばです。
 「机上小説家企画」に参加します。こちらは当日テキレボにいらっしゃるかたのお話になるのですが、そう、会場で「新作」を即興してお渡しする企画です。スケブの小説版です。ドヤッ。遠藤ヒツジさん主宰の羊網膜傾式会社さんの企画でして、6サークル9名もの作家さんがこの企画に参加することになりました。
 この「机上小説家」のおそろしいところはですね! 

「当日誰にも頼まれないこと」

 です! 用紙(ポストカード)もこちらで用意しておりますので、「書いてくださーい」と一言お気軽におっしゃっていただくだけでオッケーです。お声がけいただけたらうれしいなー。練習してるんですよー。当日はボードを用意していただけたようで、声をかけにくい!というかたのためにもテイクフリーの即興掌編があるとか、ないとか?
 当日任せのがむしゃらさで進行する、およそ作家には不向きな企画ではありますが、ガンガン試してください。作品の出来不出来にはお口チャックという素敵ルールもあります!(保身)
 落山はだいたいブースにいると思います。とっつきにくそうなのは見た目だけです。あっそうだ、すごく短髪になりました。さわやかな雰囲気で座ってるはずです。チェックしてみてくださいね~。

 

 

 こんなものでしょうか。ダイジェスト、どれもお気に入りの箇所が多くて抜き出すの悩みました。全編どれも好きなので、読んでいただけたら嬉しいです。当日の捌け具合にもよりますが、おそらくは文学フリマ東京でも頒布できるはずですので、テキレボ来られないかたにはまたアナウンスできればいいなあ。
 いまからテキレボ楽しみでわくわくしてます。ファンタジーのジャンルにブースもらうのもはじめてなので、無駄にそわそわしています。初参加!初参加!ちがうけど!
 当日いろいろなかたにお会いできることを楽しみしております。わーい。

 

 

 

ヲンブルペコネ

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